2019-10-06「射撃のためのメンタルマネージメント講習会」開催レポート

射撃は「精神のスポーツ」と呼ばれるほどメンタル面が大きく影響しますが、その働き方・鍛え方についてはあまり多くを目にすることがありません。そこで、元オリンピック射撃選手の木田先生をお招きして「射撃のためのメンタルマネージメント講習会」を開きました。

講習ではライフル射撃選手のラニー・バッシャムが提唱した理論・手法について自身の経験とともにお話いただきました。

メンタルマネジメントはスポーツだけでなくビジネスや普段の生活など、広範な分野で役に立つ技術ですが「引き寄せ」「言霊」といったスピリチュアルなメソッドと結びつけている人も多く、時にはネガティブな見方をする人もいるでしょう。

しかしながら、ある程度撃てる人はだいたい皆、集中する方法として自分ごとの「ルーティーン」を持っています。「何もしないよ。いつもと同じように過ごすだけだよ」というのもそう。つまり何某かのメンタルマネジメントを自然と行っている。

こうした方法についてまとめ、誰もが導入できる「技術」「手法」として体系立てたのがバッシャムです。

バッシャムの理論では、精神活動は「意識」「下意識」「セルフイメージ」の3つがあり、このバランスをどう作るかに焦点があたります。詳細は星雲社から「メンタル・マネージメント―勝つことの秘訣 」として出版されているので、気になる方はご一読を。

医学の進歩によって脳の機能が明らかになってくると、メンタルマネジメントは別の角度からの捉え方もできるようになりました。例えば鼓動の間隔であるHRV(心拍変動)を解析することで自律神経の働きの強さを知ることができます。深呼吸や「集中」の度合いでHRVが変化することを実際に見てみるというセッションも行われました。

フィジカルやメンタルのトレーニングは、理論を知るだけでは何も変化はありません。実際に行って、よい射撃につなげることが目的ですが、その道筋についてはほぼ何もヒントがないというのが現状です。

こうした講習会が「体験会」と「試合」、初心者と上級者の間にあるギャップを埋め、上達の近道になればよいと思っています。